| 12月巻頭言 小池式・・・イラク空爆の読み方 キーワードは「クリスマス」 |
| 12月19日、イスラム諸国で聖なる月、ラマダン(断食)が始まった。各国のイスラム指導者が高い塔に上り、望遠鏡で月の満ち欠けを見て判断するため、国や地域によって若干、日にちが異なる。何とも人間的なアナログ作業だが、これが宗教の宗教たる所以だろう。 91年1月の湾岸戦争とはかなり様相を異にするイラク空爆が、そのラマダン月の直前に行われた。当初の報道は「聖なる月、ラマダンに入る前に行った」と、やけにラマダンを強調するものが多い。しかし、私はラマダン云々はアメリカの情報操作のように思えてならない。 イスラムの「ラマダン」はキーワードではない。むしろ、キリスト教の「クリスマス」こそキーワードである。ベトナム戦争の最中でもクリスマス休戦だけは行われた。また、ペルシャ湾の第七艦隊の配備には1日七千万ドルがかかる。クリスマスに米兵を帰還させることにむしろ重きがあったのではないか。 イスラム世界に最も疎い日本ではラマダンなどという言葉が出てくると、一気に思考停止に陥る。世界のメディアもイスラムには心理的抵抗が強い。あえてラマダンを強調し、錯乱効果を求めたのである。 歴史を振り返ってみよう。日本のオイルショックの震源となった73年の十月戦争は、エジプトがイスラエルに奇襲攻撃をかけたものだが、ラマダンの最中であった。むしろ、聖戦として士気を高めることになった。ラマダンでも戦うのである。 もう一つ。イスラム諸国の中でもむしろイラクは世俗的である。ラマダンへの宗教的な意味は隣国のサウジなどと比較すれば、イラクではぐっと低い。 弾劾逃れか? 『ワッグ ザ ドッグ』というアメリカ映画さながらに、クリントン大統領が自らの不倫疑惑による弾劾逃れのため、イラク空爆に踏み切ったという説も強くある。 私の考えは違う。 弾劾が逃れられないと判断したからこそ、ゴーサインを出したのだ。議会の票読みは、かなり正確にできる。たかが数百人の議員の心理を読むことなど、わが国の国対(国会対策委員会)でも基本中の基本である。自国の議会の動きを大統領が知らぬはずがない。ましてや、自分のクビがかかった問題である。 弾劾やむなし、と読んだからこそ、爆撃に踏み切ったのだ。 大統領の弾劾とは、議会から「あんたはダメよ」とクビを言い渡されることに他ならない。大統領が、三軍の長であり続けたとしても、弾劾訴追を受ける前と後では、権力の質が違う。「あんたはダメ」と国内で失格印を押された大統領が、他国を爆撃する図を考えてほしい。今回、追随したイギリスも躊躇しただろう。 弾劾が避けられないからこそ、爆撃に踏み切った。そして、弾劾の印象が薄らぐ期間まで、フセインが動けなくなるように、情報通信基地を叩き、大量殺戮兵器製造に関連した施設を叩いたのである。目的は達したのだ。 今回の米英による爆撃に対し、日本が速やかに「支持」を表明したのは北朝鮮での有事含みではないか。最近の北朝鮮の動きは不気味だ。私にはイラク爆撃は一種の予行演習のように思えてならない。 一方で、今回のクリントン大統領による爆撃は冷戦後のアメリカの一極支配の終焉のように思える。その分、来年は世界の軍事、金融等に大激震が走るとの覚悟も必要なのではないだろうか。自自でもババでも、日本の正念場である。 |
| 衆議院議員 小池 ゆりこ |
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