『時のアセス』導入と新国家目標
海のハブ、空のハブなど国益強化へ
橋梁&都市PROJECT 2000年12月号
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海のハブ、空のハブなど国益強化へ
橋梁&都市PROJECT 2000年12月号
急ぎたい不良債権処理と行革 −どのような決意で21世紀を迎えられますか? 今世紀は2度の世界大戦があったり、ソビエト連邦が崩壊したりと激動の時代でした。日本は政経分離が不明確なまま、特に戦後、経済だけが発展した片肺飛行で、日本人の国際感覚を欠如させてしまいました。また、21世紀を目前にグローバルスタンダードの大波に呑まれてしまい、その結果、大きなツケを払いました。その後遺症が不良債権となって未だ処理されないまま21世紀に持ち越されようとしています。積み残した不良債権の処理と行政改革は、なんとしても急がねばなりません。 日本の銀行は日々、帳尻の1円を合わせるような些細な仕事のために、女子行員を深夜まで残業させるなど、戦略なき国内シェア争いにうつつを抜かしてきました。銀行の経営者はこうした、非効率で先見性のない経営を改善できなかったため国際競争に負け、60兆円もの公的資金注入という状態に陥りました。人材を有効活用しなかった報い、では済まされません。 このように世界が大きく変動しているのに、政治も経済も依然として国内というコップの中の嵐を続けています。景気回復への重要なステップに差し掛かっている時期ですから、政局を最優先させることはあまり感心できません。それでなくても日本では首相の任期が短すぎます。首相や大臣がくるくると代わるので、裏方の役人が表に出てくる。政策立案は本来、政治の役割です。このままでは本当に国益を損ないかねず、だからこそ政治の復権を急ぐのです。 駆け引き外交からの脱皮も −60兆円もの国民の財産を無駄にしたのなら、それは銀行経営者の犯罪行為ですから責任のとらせかたがあると思います。小池代議士は21世紀にどのような政治をなさいますか。森内閣が信任決議されても、政局は依然として流動的ですが… 私個人は政界ガラガラポン論者です。政策が一致するもの同士が集まって、政党を作っていくのが当たり前だと思っていますが、まだまだそこまで至っていません。私は1ヶ月先の政局を論じるより、政策立案に重点を置きたい方なので、目先の政局にはあまり拘泥していません。 政治家として21世紀は、特に外交の時代だと思っています。ところが日本は経済大国になっても国内が優先され、外交がなかなか機能してきません。お金で解決しようとする姿勢がありありで、外交交渉では手の内を相手に見透かされて、国益を随分、損なってきました。アジア、とりわけ日中関係は謝罪外交に終始してきたと言えるでしょう。 また永田町も、行政も、企業も、押しなべて現在の延長線上で物事を考えがちです。しかしながら日本は高齢化が加速度的にやってきますから、抜本的な対策を講じなければなりません。例えば2050年の人口や年齢構成を想定しながら国家的目標を設定して、何をどうやるかの新しい考え方が必要になっています。 −90年代は失われた10年と言われます。新しい国家目標がどうしても必要です。 重厚長大型の産業構造から軽薄短小型の産業、いわゆる高付加価値産業にシフトして行き、現在ではIT(情報技術)型産業に期待が集まっています。このように経済は生き物のようで、産業構造は常に変化していますから、いつまでも現在のノウハウばかりに頼ることはできません。高齢者も定年を迎えたから何もしなくて良いと思うのではなく、若者に混じって社会を支える明るく活力ある国家の仕組みが必要になります。 社会保障にしても年金にしても、そろそろ支える人と支えられる人の数が合わなくなる。だから今こそ『年金とは何ぞや』を問い、民営化などの方法論も含めて、真剣に考えなければならない時です。 公共事業に期待できる経済効果 −政府与党は9月、233プロジェクトの中止を決めました。 与党政策責任者会議の一人として、3党合意の場に参加しました。 公共事業は補助金を含めると3万件から4万件になり、可及的速やかに公共事業の見直しをやるにしても、その全てをチェックする事はできません。そこで何年もほったらかしにされ、デットロックに乗り上げているような事業を含め、先ず見直すことになりました。こうして決められた233事業は『時のアセス』の第一歩であり、評価できる決定です。 公共事業には様々な意見があります。ムダだとか、地方の事業はダメで都市型は良いなどのマスコミ上の論調が主なものです。しかし、経済的な波及効果が薄くなったとはいえ、乗数効果が1.38ある訳です。将来を見据え、費用対効果を考えて取組むべきです。狸しか通らないような林道を無理して造るのは反対ですが、国家的な観点からハブ空港やハブ港湾の整備は大賛成です。シンガポールや上海などに取られた物流の拠点を再び、日本に取り返すような政策が日本の国益になります。 また、高速道路や高規格道路を整備すれば地方経済が活性化するかといえば、そう簡単ではありません。経済的な中央集権化を促進させ、泊まりがけの出張がかえって日帰りになったり、あるいは支店を縮小したり廃止したりする例も出ています。一方で、地域間の交流ふれあいトンネル・橋梁整備事業のように、道路網を整備すると見違えるように便利になるような事例がたくさんあり、このような事業は重点的にやっていくべきです。 公共事業の乗数効果は、不思議に出生率と同じです。公共事業のやり方も人口問題も、非常に微妙な状態にあるということでしょう(笑い)。特に今は地方財政が一番痛んでいることから、やりたくてもできないという側面もあります。私はこれを膨満感現象と名付けています。お腹がすいているのにゲップが出る…。今後は行政改革の一環として、地方自治体の合併を促進することも重要になっています。 −しかしながら公共事業も第2東名神に続く夢のプロジェクトが見当たりません。新首都の建設で新しい活力ある日本を生み出せるとお考えですか。 先日、保守党は首都移転に反対を打ち出しました。建設大臣を出している政党として、こんなことを言うのは気が牽けますが、右上がり経済が続いていた時代とは状況が違います。東京の機能を充実させることが今は最も大切です。その意味では首都機能の移転事業は、見直すべき234番目の事業です。 省益の対立除き夢事業推進 −234番目の見直しが必要といわれましたが、その国土庁と建設省、運輸省などが統合されて国土交通省がスタートします。 巨大な利権官庁ができます。政治不在のため、野放し状態になった官僚が”関東軍”化することが懸念されますが、一方で国土交通省になると省益の対立が調整され、一つにまとまることもできます。省益から局益、課益のように縄張り争いはすぐになくなるとは思いませんが、国土保全に向けて絵図が描きやすくなることは事実です。 これまでは全国的に、小規模な似たような事業を展開してきました。これでは日本経済の活力にはなりません。国土交通省を中心に知恵を出して、アジアを代表するハブ港やハブ空港を建設して、日本をアジアの物流や商業の中核に再生させるエネルギーを出さねばなりません。サハリンから天然ガスのパイプラインを持ってくるとか、九州と朝鮮半島をトンネルで結ぶことなども、将来の大きな夢として生まれてくるかもしれません。 −今日は国益という言葉がたびたび登場します。日本人はこの言葉を胡散臭く聞きがちですが、政治が日本の新しい価値観を示し新しい政治を実現してほしいと思います。 国益とか戦略という言葉は、どうも軍国主義的なニュアンスが漂うようです。こういう考えをすること自体が、恐ろしいことであるかのように見られていました。これは教育の問題が大きいと思います。高齢化社会を前に国民の福祉をどうするか、地球環境をどのように守っていくかなど、これらを論じることはすなわち国益。金融機関の60兆円の資本注入もそうですが、日本人は木を見て森を語らないクセがあります。国民が勝手気ままにかっこいいことを言って、ハッと気が付いたら全てを取られてしまった、後の祭りだったりします。国家戦略の重要性を肝に銘じ、戦略を論じていくことに他なりません。 −どうもありがとうございました。 |
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