野口健のガイア礼賛
日本経済新聞(夕刊)2007年6月23日
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日本経済新聞(夕刊)2007年6月23日
![]() 2005年6月1日、日本の夏は変わった。地球温暖化防止キャンペーンとして「クールビズ」がスタート。仕掛け人は当時環境相だった小池百合子さん(現内閣総理大臣補佐官)だ。 小池さんは私と一緒に富士山で清掃活動を行ってきた環境活動中間。その小池さんが、提案から約1年掛かりでクールビズを実現させたが、私は正直、人々に浸透するのかどうか疑問だった。なぜなら昔、スーツを半袖にして省エネを呼びかける運動があった時、世間は関心を示さなかった。 登山家になり、スポンサー集めのため企業を回っていたころもそうだった。相手はビジネスマンでも自分は登山家だからいいだろうと思い、ノータイで面会したら「学生とはいえ、ネクタイも着けずにあいさつに来るなんて非常識だ」としかられた。 だが、今やどうだろう。先日、エベレスト帰還の報告にスポンサー企業を訪れた。ネクタイをきっちり締めて出向いたところ、向こうはみなノータイ。「野口さん、ネクタイ外していいですよ。その方が楽ですから」。革命的変化である。 クールビズのスタート直後、小池さんはパリまで足を伸ばし、エルメスやクリスチャン・ディオールといった世界の一流ブランド店を訪問したという。世界のブランド相手に「東京はアジアにおけるファッションの発信基地。日本で『クールビズ』を大キャンペーンする」と環境相自らアピールした。 当初の省エネルックはお世辞にもオシャレとは言い難い代物。そこで小池さんは一流ブランドの力を借りて、クールビズの「ドレスアップ」を狙ったのだ。クールビズはファッションを変え、さらには温暖化対策に多くの人の関心と共感を呼ぶきっかけとなった。 研究によればネクタイを外し、襟元を開くだけで体感温度で2度涼しくなる。その結果、32.7%の企業がオフィスの冷房を以前より2度ほど高めに設定し、二酸化炭素の排出量はひと夏で46万トンも減った。一方でアパレル業界を中心に大きな経済効果も生んだ。 「環境保護は経済の足を引っ張る」。そんな声がいまだ経済界から聞かれるが、クールビズこそ小池さんが目指した21世紀型の「環境と経済の融合」の姿なのだろう。 |
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