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特別講演
「地球温暖化とわが国の環境問題への取り組み」


読売新聞 2008年9月28日

 

エネルギー巡る世界の状況
 今日は温暖化対策、そして日本の環境政策はどうあるべきなのか、世界はいったいどうなっているのか、お話ししたい。
 産油国のアラプ首長国連邦では、太陽熱発電などありとあらゆる技術を組み合わせて、二酸化炭素を出さない街を作る計画か進んでいる。産油国にもかかわらず、石油枯渇を見据え「石油を使いません」という方向に、社会全体を持っていこうとしている。
 米国でも、大統領選で環境問題か大きなテーマになっている。米国は京都議定書から離脱して何もやっていないじゃないか。だから、日本もやらなくていいと話す人もいるが、今後は様相がガラッと変わってくることを考えなければならない。
 石油価格が高騰している。石油価格は市場の需給で決まるが、今は、投機資金か入って、価格か大きく動いている。日本という国は、石油のない国。石油価格に振り回されないためにも、少しずつでも、自然再生エネルギーで、国内のエネルギーそのものを確保しておくべき。国の安全保障でもある。自然再生エネルギーの活用は、石油のない日本こそ考えるべきだ。すでにその技術は持っている。
 ドイツでは太陽光発電の電力を電力会社が買ってくれるため、住宅が発電所の役割を担うようになった。6年ぐらいで元が取れるようになっており、日本は太陽光発電の普及でドイツに抜かれてしまった。
 しかし、日本の環境技術の市場は世界中にある。世界中の消費者かガソリンを少しでも使わない車を欲しがっている。そういう中、日本の省エネ技術はもっとも光るものだと思っている。

革新には技術が必要
 ここにある1901年の報知新聞には、20世紀には電話やファクス、インターネットのようなことができると書いてある。これは、未来の夢について書いた記事だが、今では当たり前のように思っていることを100年前に予測していた。
 これぐらいの想像力・発想力でもって、未来のことを考えなければ、絶対に実現しないだろう。できると思わなければ、2050年に二酸化炭素半減も、ただの絵空事になってしまう。
そのためには、大変なイノベーション(革新)、発見・発明への努力が重要だ。そして、その技術が必要だと考えることが大切になる。必要は発明の母だから、研究や発明は、需要から生まれてくる。
 日本では、来年にも家庭の電源でも充電できる電気自動車が売り出される。すぐには普及しないかもしれないが、皆さんが携帯電話を持ったのは、この10年ぐらい。日進月歩だ。電気自動車が普及すると、駐車場だけではなくて「充電場あります」というサービスが現れるなど、世の中が変わってくる。これが革新というものだ。

生活の無駄ダイエットを
 世界のCO2。の排出量の割合を見てみると、米国が1位、中国が2位。日本の省エネ技術、環境力を伸ばすということは、発展途上国で、CO2。の排出を抑えていくことにも役立つ。だからこそ、私は、環境の分野での日本の技術を確立して、より世界に提供していく必要かあると主張している。
 日本は、経済成長やパソコンなど便利な製品の普及で電気の使用量がどんどん増えてしまった。さらに、最近は、地震の影響などで、二酸化炭素を出さない原発の利用率が低下している。この部分もひっくるめて本気でCO2をダイエットしていかなければいけない。
 だからこそ、私は、この原油高というピンチをチャンスに変えて、まさにエネルギーシフトを図るような政策を打っていくべきだと訴えている。それこそか、社会構造を変えていく、真の構造改革ではないかと思う。
 これまでの政策、対策は、バラバラでやってきた。私は環境大臣や防衛大臣を経験したが、役所と役所の交渉に費やすエネルギーは大変なものだ。そうやっているうちに、ほかの国は、明確なリーダーシップで、どんどん低炭素社会に行こうとしている。スピード感で日本は負けてしまっている。
 日本の環境力をどうやって、効果のあるものにし、いつも世界をリードし続ける力とするか、これが問われている。省エネ技術や環境技術に加え、さまざまな制度を組み合わせていくことで、持続可能な日本を作りたい。
 本日会場にいらした皆さんには、生活の中でちょっと無駄なもの、よく考えたらいらないもの、もう少し工夫できるものがないかを、この機会に、もう一度チェックしていただきたい・論衡の言葉に「夏炉冬扇」とある。夏に炉はいらない、冬に扇はいらないということ。「もったいない」の心と技術、そして制度の心技体で日本と世界を守りたい。





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