わが国の地球温暖化対策の中期目標がようやく決まった。麻生総理自らが発表した内容は、温室効果ガスの排出を2020年に05年比で15%削減するものだ。1990年比では8%の削減となる。
同時に目標達成には一世帯で年間7.6万円の国民負担が必要と、強調された。二酸化炭素排出に価格をつける経済モデルで計算したものだ。
すでに炭素税、気候変動税を導入している欧州主要国は石油や石炭に課税して消費を減らし、社会の低炭素化を目指している。税収を社会保障にも活用する環境福祉税だ。
04年に私が環境大臣として提唱した環境税案も税収を省エネ対策だけでなく、社会保障にも活用する設計とした。同じ考えといえる。
日本では、社会保障費を毎年2200億円削減することが政治課題となっている。財政の健全化には17年に12%の消費税率が必要との試算もある。しかし、消費税はすべての物品やサービスに課税するので社会の低炭素化には役立たない。
私たちが本当に低炭素革命を訴えるなら、化石燃料への複雑な税を整理しつつ、今こそ環境福祉税の導入に踏み切ることを提案したい。
昨年8月には世界的な石油の高騰でガソリン価格も1リットル185円を記録した。民主党は暫定税率の廃止を主張するが、実は先進各国と比べ日本のガソリン税は高くない。
いま日本のガソリン価格は120円前後で、うち税負担は約60円だ。一方、国際エネルギー機関などの4月のデータではドイツは160円のうち111円、フランスは153円のうち104円、イギリスでは134円のうち94円の税負担となっている。ちなみに米国は54円のうち10円に留まっている。
税は国のかたちを示すという。欧州は低炭素社会構築への意思を税率で表している。
日本で例えば、現在のガソリン税に35円を環境福祉税として追加すると価格は155円になる。他の化石燃料にも環境福祉税を課すと、設計しだいで2〜4兆円の税収が見込める。これによって削減の中期目標を達成するだけでなく、社会保障の財源に充てることができる。産業への影響も配慮しつつ、省エネ対策に活用する一石二鳥だ。
しぶしぶ185円のガソリン代を払い、そのうちの多くを産油国に献上していたことを考えれば、環境福祉税を含む155円のガソリンは「高い」だろうか。
石油や食糧価格の高騰、金融危機、GMの破綻などの出来事は文明と社会の大転換を告げている。今こそ発想を変えるべきだ。低炭素革命を実現し、エネルギー安全保障を確保しながら、安心安全な社会をつくる。新たな知恵が求められている。
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