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着眼グローバル 第18回(最終回) 東アジアの安定に重要さ増す日韓関係 |
フォーブス日本版2002年6月号 |
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今年5月末からワールドカップの日韓共同開催が実現する。北の脅威がある中で、東アジアの安定には日本と韓国の関係強化が欠かせない。今回の開催を関係強化のきっかけとすべきだ。 W杯開催に向け日韓の協力関係が加速 正月恒例の総理の年頭あいさつに際して小泉首相は、羽織・袴のいでたちで、日韓共催ワールドカップ(W杯)の開催に向けて韓国の金大中大統領とエールを交換。W杯はいよいよ本番、すぐ目前に迫っています。 これに先駆けて小泉首相は、3月には就任後初めて韓国を公式訪問し、その成功への協力を確認するとともに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致問題について「日本国民の生命、安全にかかわる問題で、これを棚上げして日朝国交正常化はない」と解決への強い意欲を伝え、北朝鮮に対して太陽政策を採用している金大統領に協力を要請しました。 アメリカが北朝鮮を「悪の枢軸」と名指ししたため、米朝交渉も話し合いの糸口が見つけられない状況であり、ましてや日朝間は不審船問題や拉致疑惑で緊張ぎみです。日韓間も韓国の大統領選を間近に控え、選挙対策としての日本批判を繰り返すなど、日本を取り巻く環境は波高しと言ったところです。 唯一明るい話題と言えば、W杯の開催国の株価は上昇するという外資系証券会社の調査結果ぐらいでしょうか。まだまだ本格的な上昇機運に乗れない国内市場ですが、株価は実体経済だけでなく、心理面でも動きます。W杯で、ある程度の株価上昇は期待できるかもしれません。事実、大会期間中、海外から日本を訪れる人は約44万人、国内の移動者は308万人と推計されており、旅行・観光業界の特需を期待したいものです。 また、スポーツ用品関連、テレビの買い換え需要で電機メーカー、民法や広告代理店、フーリガン対策で保険会社なども狙い目ですが、すでに織り込み済みでしょうか。 保険会社の株が上昇するのは、けっこうなことですが、集団で暴れるフーリガンはやっかいな代物です。フーリガン対策として、大阪府警では、輪の部分の直径が通常の1.3倍ある大型の手錠を導入する方針を固めました。これは、体格の大きいフーリガンを「逮捕しても、腕が太くて手錠がかからない」ことがないようにするためだとか。 またテロ対策として、警察庁長官は、「イスラム過激派から標的にされているアメリカなどが参加するため、厳重な警戒が必要」としたほか、不審船事件を契機として、北朝鮮の動向に特段の注意を払う必要が出てくるかもしれません。W杯の共催国である韓国では、一足早く軍隊が特殊訓練を行うなど、国家の威信にかけてフーリガン対策、テロ対策を行っています。 日本ではW杯の開催間際に成田空港の暫定滑走路が供用開始になりましたが、韓国では既に仁川空港が開港、東アジアのハブ空港の地位を狙っています。金融危機への対応を見ても、規模の大小があるとはいえ、スピード感とダイナミックさでは韓国の方が一枚上のような気がします。 北への外交では硬軟の使い分けを 興味深いのは、韓国文化観光省が日韓共催W杯の公式ソング3曲の日本語版について、テレビ、ラジオでの放送を7月までの期限付きで許可すると発表したことです。 韓国は、これまで日本の文化が怒濤のように押し寄せることにナーバスでした。しかし台湾における日本のTVドラマブーム、子供たちの日本へのあこがれの強さなどを考えると、文化交流を通じ、両国の人々の輪を強めていきたいもの。朝鮮半島問題に関しては、金大中大統領がいわゆる太陽政策を採用したため、一時は平和ムードで覆われました。日本でも、北と南に分断された家族が抱き合って喜ぶシーンを目の当たりにし、在日の方だけでなく多くの日本人が感動の涙を流したものです。しかし、ここにきて雪解けムードもペースダウン。北朝鮮が日韓共催W杯に対抗してアリラン祭を開催、北朝鮮の政治体制に変化が生じていないことを印象づけようとしています。 こういった状況の下、日本の対北朝鮮外交は遅々として進みません。日本の外務省は、不審船問題、拉致疑惑などに関して、これまで腰が引けた対応を続けてきましたが、もともと外交というのは硬軟取り混ぜたダブルスタンダードの世界です。外務省は交渉の場を設け、そこで技術的な外交をするのが務めですが、政治はさらなるオプションがあってよいと考えます。 アメリカの対北朝鮮政策を見ると、国務省のプロパーの外交官はリベラルな考え方を持つ人や対北朝鮮慎重派が多いのですが、一方で政治任命を受けた人やホワイトハウスなど政権の中枢にいる人は、前のクリントン政権の時とは180度違う強硬派が多く、その時々に応じて両者を使い分けています。 したがって、北朝鮮から見れば、今のブッシュ政権は怖い存在になっています。アメリカによりテロ攻撃を受けてアフガンの二の舞にはなりたくないという思いがあります。 そうしたことを考えるにつけ、日本の対北朝鮮対策については、政治と外務省が必ずしも一枚岩である必然性はありません。硬と軟を使い分ければいいのです。警察の取り調べで鬼刑事となだめ役の刑事が被疑者の心理を揺さぶるように、外交の上でもカードを使い分ければいいのです。 北朝鮮に拉致された有本恵子さんは神戸御出身です。そんな縁から、私もアドバイスをさせていただいているのですが、御両親は「政治が動いてくれない限り、子供が帰ってこない」と訴えられます。本来頼るべき国家に頼れないということは悲しいことです。 今まで柔一辺倒でやってきたものを、今後は柔と剛を組み合わせて、国家として断固たる措置をとるべきです。 朝鮮半島の安定はアジア全体の安全保障にとって最大のテーマです。今、アジアは、対イラク攻撃の可能性の高まりとともに、両にらみの状況が続いています。 このような時期にこそ、日本は言うべきことを声を大にして言っていかなければなりません。それは日本は国益と国民の安全を守ることを最優先するという当然のことです。 中国と北朝鮮との関係に対し、日本と韓国は自由経済を守るためにも、しっかりと連携していかねばなりません。 その意味からしても、W杯というイベントを通じて日韓交流、日韓協力を進めていこうということは極めて重要なテーマといえます。 |
| 衆議院議員 小池 百合子 |
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